スペシャルティコーヒー用語「テロワール」って?

「テロワール」とは

「テロワール」はフランス語で、もともとワインの世界で用いられてきた用語です。英語にすると「マイクロクライメイト」、日本語にすると「微小気候」といわれる用語で、ワインの場合は畑のブドウの木を取り巻く狭い範囲での気候や環境要因のことを指します。
スペシャルティコーヒーの世界でも同様で、コーヒーの世界で用いられるテロワールも、畑のコーヒーノキを取り巻く狭い範囲での環境要因のことをいいます。

2016年ボリビア、標高2,600mの栽培エリアをもつアグロ・タケシの風景。

テロワールに含まれるもの

では具体的に、テロワールに含まれるものにはどんなものがあるのでしょうか。
非常に多岐にわたりますが、代表的なものを紹介しましょう。

・土壌
・日照
・気温
・降水量
・風向き、風の強さ
・霧が出るかどうか
・コーヒー以外の周辺に育つ植物の影響

細かくみていくときりがないので、このへんにしておきましょうか。
コーヒーノキを取り巻くといっても、非常にたくさんの要素がカップクオリティに影響していることがおわかりいただけると思います。

良いテロワールとは

では、良い風味が生まれるとされているテロワールとはどういったものなのでしょうか。
もちろん例外もたくさんありますので、代表的なものを紹介してみたいと思います。

2017年パナマ、テロワールのために自然林を残して栽培されるコーヒー。

1.気温が低いこと(寒暖の差が大きいこと)

現在私たちが扱うスペシャルティコーヒーとなりうるコーヒーが植えられている場所の年間平均気温は、およそ20℃前後です。 これくらいの気温でないとアラビカ種のコーヒーは育たないのですが、標高の高い場所ではこれより低いところもあります。 コーヒーの栽培で伝統的に重要だといわれている栽培標高、これがなぜかというと、単純に標高が高いほうが年間平均気温が低くなるからにほかなりません。
気温が低いと何が良いかというと、コーヒーチェリーの成熟と、種子の成熟の関係に秘密があります。
コーヒーチェリーは、一定以上の熟度に達すると、それ以上にはなりません。 そしてそれ以上放置していると乾燥し始め、発酵・腐敗し、落ちてしまうのです。 ですから、コーヒー生産者はチェリーが熟すと、収穫しないといけなくなるわけですね。

チェリーが熟す度合いと、コーヒー生豆になる種子の成熟度合いは、実はイコールではありません。 気温が高いところは、種子の成熟を待たずしてチェリーが完熟してしまうので、カップクオリティの高いコーヒーを作るのが難しくなってしまうのです。 これが気温の低いところになると、チェリーが完熟するのに時間が長くかかりますから、その分だけ種子の成熟が進みます。 種子の成熟がしっかりなされるということは、種子に含まれる栄養分、要はコーヒーにしたときに風味のもとになる成分が多くなるということなので、カップクオリティの高いコーヒーを作れる可能性が高くなる、ということになるわけです。

気温が低いとはいっても、もちろん限度があります。 コーヒーノキは、実は霜に対して非常に弱いのです。 ですから、霜がおりる場所では、基本的にはコーヒーを作ることはできません。
産地では伝統的に、栽培の標高の上限が設定されていることがありますが、それはつまり「ここから上は霜がおりることがある」というのが基準です。

中米、アフリカ、ブラジル以外の南米の産地であればおよそ2,000m、ブラジルだとおよそ1,500mが、コーヒーの栽培ができる上限の標高といわれています。 平均するとアフリカ、ブラジル以外の中南米で1,500m、ブラジルで1,000mの標高でコーヒーを栽培していれば、高地で栽培しているといえます。
※もちろん例外はあります

この、「種子が成熟する時間を長く取れる」要因は、気温(=栽培標高)のほかにもいくつかあり、テロワールを考えるうえで非常に重要な視点となっています。

2.日照が強すぎないこと

コーヒーノキの原種は、ほかの植物の日陰に生育する植物でした。 ですのでコーヒーの栽培には、実はそこまで強い日照は必要ありません。 東南アジア、アフリカや中米の赤道に近い産地では、コーヒーの植えられているところに、背の高いほかの木を植えていることが多いです。 これは「シェードツリー(日陰樹)」といわれるもので、強い日照を遮って、コーヒーにとってちょうどよい状態にするためのものです。 逆に赤道から遠いブラジルではシェードツリーはあまり見られず、そのままコーヒーだけを植えているところがほとんどです。

2016年ブラジル、シェードツリーは見られません。

また、霧が発生するかどうかというのも、この日照に影響する要因です。 霧は気温が低くなる(昼夜の温度差が大きい)場所で発生し、日照を和らげるため、伝統的にコーヒーの栽培に適した場所とされてきました。
またコーヒーの原種が自生している地域も「雲霧林」といわれる環境で、読んで字のごとく、熱帯雨林の標高が高いところで、霧が出る場所のことをいいます。

ほかには地形的な要因(東向きの斜面や谷間など)によって日照時間が自然にコントロールされる場所もあり、そういった場所が名産地化しているケースもありますね。

コーヒーの栽培に適しているのは、

気候:平均気温18〜21℃、雨季があり、霜が降りないこと
土壌:有機性の高い火山性土壌

この条件を満たす場所だといわれています。 この条件を満たしたうえで、細かい諸条件の違いから、畑ごとの味が変わり、私たちはそれを楽しんでいるわけですね。

テロワールの違いを楽しむには?

テロワールの違いによって様々な風味のあるコーヒーが生まれるわけですが、テロワールによって生まれている味を明確に感じられるコーヒーは、実はそう多くはありません。 おいしいコーヒーはテロワールが良い、というのは間違いないのですが、テロワールが良ければ必ずコーヒーがおいしいのか、というと少し違います。 生豆は農産物であると同時に、適正な品質管理によって生産されないと、カップクオリティに大きな影響が出てしまいます。 そしてカップクオリティの良いコーヒーとは、生豆のみならず焙煎・抽出にいたるまでの品質管理までも関わってくることは忘れてはなりません。 つまり、スペシャルティコーヒーにおけるテロワールは、生産者の厳正な品質管理によって作られた生豆を、適正に焙煎・抽出してはじめて実感することができるのです。

わかりやすくテロワールの魅力を感じられるコーヒーの代表はなんといってもエチオピアのコーヒーです。 エチオピアはコーヒーノキのふるさとで、コーヒー生産国の中で唯一(当たり前ですが)生まれた環境で生まれた品種が栽培されている国です。 それゆえのユニークさ・魅力があるのがエチオピアですが、もちろんエチオピア以外の生産国のコーヒーだっておいしいですよね(笑)。
たとえば弊社の商品でいうと、シングルオリジンで販売しているコーヒーが、テロワールを理解するにはわかりやすいのではないかと思います。 できればまずは大まかなエリア(アフリカ・中米・南米・東南アジアなど)違いで何種類か飲み比べていただけるといいですね。 そのあと同じ大陸で生産国違いのコーヒーを飲み比べると(たとえば中米でグァテマラとコスタリカ、アフリカでエチオピアとケニアなど)、だんだん自分の中に味の情報が蓄積されていって、産地による違いを実感できたり、好みの再発見にもなったりするので、ぜひやってみてください。

私たちは良いテロワールで品質の高いコーヒーを作ることができる生産者との関係性を大事にして、コーヒーに取り組んでいます。

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