生産処理その4:例外的な生産処理

基本的な生産処理の3種類、ナチュラル、ウォッシュト、パルプトナチュラルについて解説してきましたが、今回はそれらのどれにも当てはまらない生産処理についてお話しようと思います。

スマトラ式(セミウォッシュト)

東南アジアの生産国、インドネシアでおこなわれている生産処理です。 この地域は熱帯雨林気候で、コーヒーの生産処理をする時期に雨が降る可能性が高い地域です。 特に問題になるのは乾燥工程で、乾燥の途中で雨に降られると、せっかく作ったコーヒーがダメになってしまう可能性もあります。

そこで考えられたのは、乾燥の途中でパーチメントを除去し、短い時間で乾燥させる方法です。 これが「スマトラ式」「セミウォッシュト」と呼ばれる生産処理です。 この方法をとることで、通常1週間かかるコーヒーの乾燥が3日で終わるそうです。

この生産処理で作ったコーヒー生豆は、深い緑色になります。 またこのこと自体は生豆にダメージを与えることになり、高品質なコーヒーは作りづらくなりますが、うまくいくとこの地域に独特の魅力的なフレーバーになることがあります。 セダー(杉の木)やすがすがしい森林を思わせるオリエンタルなフレーバーは、この生産処理で生まれる魅力的なフレーバーだと思います。

嫌気性発酵(アナエロビックファーメンテーション)

コーヒーの生産処理の際に起こる発酵がフレーバーに影響している、ということが明らかになってきた近年、新しい生産処理方法として考えられたのが、嫌気性発酵です。

通常の生産処理では、酸素があるところで活動する微生物によって発酵が起こります。 たとえばナチュラルではチェリーの乾燥工程、ウォッシュトでは発酵漕での発酵工程がそれにあたります。 生産処理の過程で発酵するときに生成される様々な化学物質(1,000種類を超えるそうです)が、のちのちコーヒーになるときのフレーバーのもとになっている、ということが近年少しづつ明らかになってきています。

この発酵工程で酸素がまったく存在しない状態にするとどうなるでしょう? そう、通常(酸素があるところ)の発酵では活動しなかった微生物が活動し、発酵が起きるのです。 このとき生成される化学物質は、好気性(酸素があるところで活動する)の微生物によって生成される化学物質とは違うものになり、結果これまで出なかったフレーバーが出るようになるというのが、嫌気性発酵の基本的なコンセプトといえるでしょう。

嫌気性発酵のためには密封できる発酵漕と、酸素を追い出すためのガス(窒素や二酸化炭素)を充填する機械が必要なので、導入コストは非常に高いといえます。 また現状は活動する微生物がどの種類か、というところに偶然性が絡むため、安定した品質にするのは難しいともいわれています。 しかしスペシャルティコーヒーの時代にあって、新規性が高いフレーバーに意欲的な生産者を中心に導入しているところが増えつつあるようです。 カップ・オブ・エクセレンスなどの品評会で入賞することもあるので、もしかしたら私たちの商品に加わるかもしれません。 どうぞお楽しみにしていてください。

※なんと2019年コスタリカのカップ・オブ・エクセレンスでは、アナエロビックファーメンテーションで生産処理したコーヒーが優勝しました!7月のオークションの結果を楽しみにしていてください。

生産処理の今後

スペシャルティコーヒーの世界では、「ほかのどこにもない、このコーヒーだけのもの」というフレーバーは、非常に珍重されます。 特に優秀で意欲のある生産者は、常にそれを探求しているといっていいでしょう。 そうなってくると、いかにそのフレーバーを狙って作り出すか、という方向に向かっていくのは、自然なことといえるのかもしれません。

コーヒーの生産処理とフレーバーの関係性の中には、発酵という現象が大きく関わっています。 この発酵を分析・理解してコントロールし、魅力的なフレーバーのコーヒーを生み出そう、というのが現在の最先端のトレンドといえるかもしれません。

たとえば発酵漕を室内に作りエアコンで温度管理をして発酵時間をコントロールしたり、コーヒーの乾燥温度や時間をコントロールしたりといったことや、発酵の際に活動する微生物を酵母を用いることでコントロールするなど、生産処理の取り組みには様々なものが考えられ、そして試されるようになってきています。

いつか、このような新しい生産処理への取り組みから素晴らしいものができて、それが手に入ったら、私たちと一緒に楽しんでいただけると嬉しいです。





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