スペシャルティコーヒーの「品種」って?
その4:WCRによるF1ハイブリッド

サビ病対策品種として様々なハイブリッド品種が誕生しましたが、
過去にアラビカ種の中からサビ病対策品種を探す動きもありました。
そのひとつが現在は独特のフレーバーによって大人気品種となった「ゲイシャ」です。
ゲイシャについては詳しく書いた別の記事があるのでそちらを参照:特別なコーヒーの品種「ゲイシャ」
してもらうとして、現在はさらに進んだ耐病性品種がある、
ということをご存じでしょうか。  

World Coffee ResearchによるF1ハイブリッド品種の開発

イエメン、イエメニアに含まれるコーヒーが育つサナアのコーヒー産地の風景。

実は現在の地球環境の変動はコーヒー栽培にも大きな影響があると考えられています。
具体的に産地で起こる環境変動としては高温と干ばつで、これによって
コーヒーの栽培可能面積が、最悪の予想の場合40%にまで減少するといわれています。

高温そのものがコーヒーに対して影響が大きいのですが、加えて
脅威になるのがサビ病をはじめとした病虫害の流行ですね。
対してコーヒーの需要は増加予測にあり、将来的に
大きな需給ギャップが発生すると考えられています。

そこで最悪の事態を回避するために組織されたのがWorld Coffee Research(WCR)です。
WCRは主に環境変動に対応した品種開発と最適な栽培方法について
研究する組織で、弊社もサステナビリティの観点から出資し、
その活動に協力しています。

WCRの品種開発は最新の農学的な知見に基づいており、新品種の開発に
際して用いられているのが、F1品種(強制雑種第一代)といわれている品種の開発です。
遺伝的に遠い親どうしを交配すると、両親のそれぞれの強い部分を両方受け継ぎ、
両親よりも強く育ち、品質のいい作物が作れるという、ほかの農作物では
一般的な品種開発ですが、コーヒーに対しては今まであまり取り組まれていませんでした。

コーヒーの場合はエチオピア在来種やそれに準ずるアラビカ原種系の品種と、
カネフォラ種の遺伝子をもつハイブリッド品種との掛け合わせがそれにあたります。
すでにカネフォラ種のもつ病虫害・高温への強い耐性と高収量、
アラビカ種のカップクオリティを併せ持つ新品種が、いくつか作られています。

そうして作られた品種はすでにいくつかがニカラグアのCOEなどで
入賞しており、育成においても伝統的なアラビカ種を上回る成長を見せるそうで、
現在はそういった品種をより多くの地域の農園で試験栽培し、
最適な育成方法を見つけていく、という段階のようです。

WCRによって作られた新品種の中で、すでにカップクオリティが
高いものが流通し始めているのは以下のような品種です。

・マルセレサ…ヴィジャサルチ×ティモールハイブリッド832/2
参考:Arabica Coffee Varieties | Marsellesa

・セントロアメリカ―ノ…ルメ・スーダン(南スーダンに移入されたエチオピア野生原生種)×T5296サルチモール
参考:Arabica Coffee Varieties | Centroamericano

将来的にはこういった品種が、スペシャルティコーヒーのスタンダードになっていくのかもしれませんね。

さらに2020年には、イエメンで行われた大規模なコーヒーの
遺伝子調査によって、ティピカ・ブルボン系統に属さない
イエメン独自の品種群があることが判明したことが大きく公表されました。
この品種群は「イエメニア」と名付けられ、今後の品種開発の
幅が大きく広がるのではないかと期待されています。

スペシャルティコーヒーの品種の未来

2017年パナマ、ゲイシャの木。

少なくとも地球環境の変動は大なり小なりすでに実感できるレベルで生じています。
そう遠くない未来でコーヒーが作れなくなってしまうことはないにしても、
これまであった「その産地の魅力的なフレーバー」が出なくなってしまう
地域が出てくることは残念ながら間違いありません。
そうなってきたときに栽培エリアをより高い標高に移すことができれば
よいのかもしれませんが、現実的ではない場合もたくさんあります。

私たちはこうした危機に対して、F1ハイブリッドを栽培する
ことで魅力的なフレーバーが再び現れる可能性があるのであれば、
それは歓迎したいと考えています。

生産処理を工夫したり、新しい品種にトライすることには、間違いなく
コストがかかりますが、そのコストは我々も負担するような形で
コーヒーを買い付けすることができれば助けになることもあるでしょう。

私たちスペシャルティコーヒー屋さんはそもそもスペシャルティ
コーヒーを作る生産者さんがいなければビジネスが成り立ちません。

これからも素晴らしいコーヒーを作ることができる生産者さんと
コミュニケーションを進めながら、より良いスペシャルティコーヒーの
未来に貢献していきたいと思っています。

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